【特別講座】 曲を作ってみよう⑬ ~ベース楽器の打ち込み~
byyusu
カテゴリ :アレンジ編作曲講座

今回はベースの打ち込みについて触れたいと思います。

生楽器同様のテクニックを再現しようとすると、それ相応の楽器に関する知識と、
それを打ち込みで再現するためのMIDIの知識と編集時間が必要で、また再現できない部分も多くあります。
なので、基本的な打ち込み例のみ紹介したいと思います。

■ ベース音源を読み込む

まずは、ベースの音源を読み込みます。
今回は、Presenceのベース音源「Fingered Bass」を選択しました。

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楽器音源の読み込みができましたので、早速打ち込みしていきましょう。
ベース楽器は、基本的に単音で入力していきます。

■ コードの一番低い音(ルート音)を打ち込む

ベース楽器の打ち込みは、作曲編で作ったコードを参考にしながら打ち込んでいくと良いでしょう。
まずは、コードの一番低い音(ルート音)を打ち込んでいくところから始めます。

コードの流れはC – Am – C – Am – F – G – C – G – Am – F – G – Cになりますので、
それぞれのコードで一番低い音(ルート音)は下記画像の選択しているノートになります。

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なので、このルートとなる音を入力していきます。

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なおアコースティックベースやエレクトリックベースなどの弦を使うベースは、
4弦ベースといって弦が4本張ってるものが基本であり、4弦ベースが演奏できる音域は
E1~G3までとなりますので、音源での打ち込みも、この音域の範囲で入力すると良いでしょう。

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もちろん生楽器を演奏する訳ではないので、範囲外の音を使っても問題はございません。
ただし、ベース楽器は低音パートを担当してもらうのが基本なので、ルート音はなるべく低い音程で打ち込んだ方が良いです。
そこにアクセントとして高い音程の音を挟むことで、安定させつつノリの良いベースの流れを作ることができます。

■ ベースでノリを作る

ベースの役割は、コードの流れがブレないようにルートの音を支える役割もありますが、
作曲編で設定したビートを考慮した上で音の強さ(強弱)発音のタイミング音の長さを調整することで、
楽曲にノリの良いリズムを作ることができます。

例えば、リズムが崩れない程度に発音のタイミングをズラしてみたり、
休符を挟んでベースの音が切れる時間を作ってあげたりすることで、楽曲にノリを出すことができます。

このようにベースの打ち込みでは、音の強さ(強弱)発音のタイミング音の長さの設定が非常に重要になってきます。

今回は、複雑なノリを作ることを避けましたので、8ビートでよく使われる付点4分音符の長さから始まる
単純な打ち込みにしましたが、もっとノリの良いベースを作りたい場合は、3つの内容を細かく設定してあげると良いでしょう。
なお音の強さの調整方法につきましては、また別の記事で紹介致します。

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■ ベースラインを作る

またベース楽器の打ち込み方法の一つに、ベースラインを作るというのがあります。
ベースラインとは、簡単にいうとベースのメロディのようなものです。

考え方としてはメロディラインを作るのと同じで、基本は流れるように音を並べていき、
緊張感を与えたい場所、印象付けたい場所などで跳躍させると流れにメリハリが付きます。

今のベースの流れを見てみると、ほとんど跳躍して進んでいますので、
この流れに対して、なるべく跳躍せず進むようベースラインを作っていきます。

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代表的な例は、次のコードのルート音に移行する際、いきなりルート音に飛ぶのではなく、
次のルート音の一つ上の音か、一つ下の音を経過させてから移行させるベースラインです。

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このベースライン作成のポイントは、経過させるノートの長さを長くしすぎないことです。
あくまでコードの構成音に対して主張しすぎない程度の長さで加えると良いでしょう。
今回のような8ビートのリズムであれば、8分音符の長さでベースラインを作ると良いと思います。

もう1つよく使われる例として、コードのルート音を変えてベースラインを作る方法があります。
例えば、6小節目のベースの流れを確認してみましょう。
ベースの流れは、[C] → [G] → [A]と進んでいて、[C] → [G]の流れが跳躍してますね。

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このGコードのルートを[G]から[B]に変更してみます。
すると[C] → [B] → [A]という一段ずつ順番に下がっていくベースラインができました。

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このように本来のコードのルート音ではない、別の音をルートに使ったコードを
分数コード(オンコード)と言ったりします。表記としてはG/B、若しくは、GonBと書きます。

これで跳躍の流れが少ないベースラインができました。
これにより、5小節目から6小節目に掛けての跳躍進行を印象づけることができます。
アレンジ作業とは、このように聴かせたいポイントを目立たせるための作業でもあります。

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以上で、ベースの打ち込みは終了です。
今回は基本的な打ち込み例のみ紹介させて頂きましたが、他にもピッチベンドというパラメータを使って、
トリル奏法やスライド奏法という奏法テクニックを再現したり、音の強さと長さを調整することで、
スラップ奏法と呼ばれるパーカッシブな弾き方を再現することもできます。
色々なテクニックがありますので、是非色々試して頂いて、カッコイイベースの流れを作ってみてください。

次回は、ギターの打ち込み例について紹介したいと思います。

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