今回から、ミックスについての説明をしていきたいと思います。
基本的には、ボリュームや定位の調節などをしたり、エフェクトを掛けて
各音源をまとめる作業を行っていくことになりますが、
まずは、ミックス作業を始める前の下準備として、ミックスコンソールの整理をしていきたいと思います。
■ ミックスコンソールの整理
まず画面右下の「ミックス」を選択し、ミックスコンソールを表示します。
Studio Oneでは、このコンソール上でミックス作業を行っていきます。
さてコンソールには、各インストゥルメントトラック毎にチャンネルが割り当てられてますが、
音源を読み込んだ初期の状態では、どのチャンネルに何の音源が割り当たっているのかが
分かり難いため、まずはソロモードなどで音源を確認しながら、チャンネル名を編集します。
またタンバリンや手拍子の音を使用している「Impact」の音源は、
パラアウトといって、それぞれの音を別々のチャンネルに出力することができるのですが、
「60s a GoGo」のプリセットの設定では、タンバリン1、タンバリン2、手拍子の3つの音が
全て同じチャンネル(Impact St5)から出力されるように設定されていますね。
基本的にミックス作業は、楽器一つ一つに対して個別に調整していく方が、
作業しやすい場合が多いので、まずはタンバリン1、2の音と手拍子が
別々に出力されるように設定したいと思います。
出力先の変更は、Impactのプラグインウィンドウの
下記画像の箇所から設定することができます。
出力方法として、Stereo(ステレオ)とMono(モノラル)が選択できますが、
ステレオは、音に広がりがでますが、定位がボヤけます。
またモノラルは、定位はハッキリしますが、音色によっては
音が強すぎて他のトラックの音を弱めてしまう場合があります。
このように出力方法を変えるだけでも、必要な調整内容は変わってきます。
今回は、3つの音全てステレオで別々に出力されるように設定しました。
・ Tambourine1は、Stereo1から出力
・ Tambourine2は、Stereo2から出力
・ Clapは、Stereo3から出力
これで同じImpactに収録されている音でも、
個別にボリュームや定位、エフェクトの調整を行うことができるようになりました。
次にImpactで使用していないチャンネル(Impact St 4~7)は、
コンソール上から外してしまいたいと思います。
コンソールのインストゥルメント一覧にある、
Impactをクリックすると、出力チャンネルのON/OFFを切替えられる
ウィンドウが展開されますので、Impact St 4~7のチェックを外します。
するとチェックを外したステレオチャンネルがコンソールから外れます。
これで使っているチャンネルだけが残りましたので、コンソールがスッキリしました。
■ Piapro Studioのコーラスをパラアウト
次に、前回Piapro Studioで作成したコーラスもパラアウトさせて、
個別に調整できるように設定したいと思います。
Piapro Studioのパラアウトの設定は、オートメーショントラックON/OFFボタンの下にある
Out Channelから設定することができます。
トラックを新規で追加した場合は、Out Channelが「1」チャンネルに設定されますので、
Soft_chorus_Lのトラックを「2」チャンネルから、Soft_chorus_Rを「3」チャンネルから出力されるように設定しました。
Piapro Studio側でパラアウト設定をしたら、
Studio OneのインストゥルメントからPiapro Studio VSTiの
「2」と「3」の出力チャンネルをコンソール上に追加します。
Piapro Studioの各トラックも、別々のチャンネルから出力されるようになりましたので、
それぞれ個別にミックス調整ができるようになりました。
これでミックス作業を始める準備が整いましたので、インストゥルメントトラック上のMIDIデータに対して
ミックス作業を進める場合は、このまま調整を始める形になります。
但し、MIDIデータのままミックス作業を行うと、再生する度に出音が変わってしまう場合があったり、
インストゥルメントの読み込み負荷の影響で再生が安定せず、ミックス作業に支障をきたす場合もあります。
この場合、オーディオトラックに変換することで、この問題が解決されたりもします。
そこで、インストゥルメントトラックをオーディオトラックに変換する方法も説明したいと思います。
■ オーディオトラックに変換
まずは、トラックの右クリックメニューにある「オーディオトラックに変換」を選択します。
すると変換に関する設定ウィンドウが表示されますので、
必要な箇所にチェックを入れて、OKをクリックします。
今回は、「インストゥルメントトラック状態を維持」だけにチェックされていればOKです。
※「インストゥルメントトラック状態を維持」にチェックを入れないと、
打ち込みデータを再度編集したい時に戻せなくなりますので、ご注意ください。
なおImpactなどのパラアウトに対応しているプラグインについては、
「すべてのチャンネルをレンダリング」というチェック項目が追加されますので、
パラアウト対応のプラグインにつきましては、これにもチェックを入れて変換して下さい。
またPiapro Studioのオーディオ変換は、Studio One側で
MIDIデータを持っていないため処理することができません。
なのでPiapro Studio側で、各リージョンをオーディオファイルに書き出してから、
Studio Oneに読み込む必要があります。
まず、各リージョンをオーディオファイルに書き出します。
そして、書き出したオーディオファイルを
Studio Oneのトラックにドラッグ&ドロップして読み込みます。
これで楽曲を構成している素材が全てオーディオデータになりました。
最後に、インストゥルメントトラックが割り当たっているチャンネルは
使用しないので、コンソールからは非表示で見えないようにして、
またインストゥルメントが動作しないように接続を切ります。
これで、表示上も動作上もオーディオトラックのみとなりましたので、
インストゥルメントトラックで各音源を動作させるために使用していたCPUなどの負荷が抑えられ、
また出音も再生の度に変わる心配はありませんので、安定した環境でミックス作業に取り掛かることができます。
次回は、このオーディオトラックに変換した方を使って
ボリュームと定位の調整を進めていきたいと思います。
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